【建築のこと#1】矩計図(かなばかりず)とは

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こんにちは、オージュンです。

私は2024年4月に建設会社の土木職から大学職員の建築職に転職をしました。転職してからもうすぐ1年経ちます。

私は元々建築をやりたかったのですが、色々あり、土木の道に進みました。

そして10年間、土木工事の施工管理を行い、現在は建築工事の発注業務を行なっています。

転職する前は、建築と土木の違いはあまりないと思っていましたが、そんなことは全くなかったです。

そこで、私自身の勉強と備忘録のために、『建築のことについて書いていきます。

このブログの中の情報に間違いや補足等があればコメントしてください。私の勉強のプラスにしていき、内容も修正して、より良いものにしていきたいと思います。

オージュン

これから建築を学ぶ人は一緒に学びましょう!

第1回目の今回は、『矩計図(かなばかりず)』について書いていきます。

土木の図面では、平面図・縦断図・横断図・断面図・詳細図(各工種ごとに)があるくらいでした。

しかし、建築の図面は、平面図・立面図・断面図・矩計図・仕上表・展開図・天井伏図・建具表・各詳細図・外構図など、多岐に渡ります。

また、これに電気や設備の図面が入ってくるので莫大な図面数になります。

そのなかでも私は、

オージュン

矩計図って何?たんけいず?横断図と何が違うの?

まず、読み方がわからない、そして、横断図との違いがよくわからなかったです。

目次

矩計図とは、建物の一部分を垂直に切断して、建物の高さ、各階の床の高さ、基礎や天井裏など各部分の寸法など建物のあらゆる『高さ』が記入されている図面です。

1/20~1/50の大きな縮尺で描かれることが多いです。

また、矩計図には高さだけでなく、部材の種類や納まりが記載されています。
そのため『詳細断面図』とも呼ばれます。

モグラ監督

矩計図は大きな縮尺で建物の高さと納まりを確認するものです

オージュン

なるほど〜

工事の際に特に重要になるのが、
『基礎の深さ』、『地面からの立ち上がりの位置』、『土台の上端』、『各階の床の高さ』、『屋根の軒桁の高さ』、『建物の最大の高さ』です。

矩計図は、これらの6つの位置が表現されているため、職人や現場監督が一番よく使う図面です。

オージュン

土木でいう詳細断面図と同じなんだ

確かに高さが一括で確認できる図面があるととても便利です。

矩計図には仕上げの方法や断熱材の種類などの細かな情報が描き込まれているため、
建物の断熱性能がわかるようになっています。

また、矩計図を見ると窓の位置や天井・床との兼ね合い、軒下の位置や庇の長さもわかるため、日差しの入り方や風の抜け方が把握できます。

モグラ監督

矩計図でその空間の雰囲気を確認できるよ

オージュン

いろんな情報を得ることができる図面なんだね

つまり、採光や通風のイメージがより明確になるため、空間の居心地が確認できる図面でもあります。

施工時のトラブル防止やリフォームに必須

矩計図は、施工トラブルの防止やリフォーム対応にも役立ちます。

建設工事では、『高さ』に関するトラブルがよく起こります。

例えば、『廊下の床材とリビングの床材の厚みの差により、家をバリアフリーにできなかった』『天井高が足りず、掃き出し窓の上部にエアコンを設置できなかった』など。

このようなトラブルは、高さに対する認識不足により発生します。

こういったトラブル予防に役立つのが、矩計図です。

前述のとおり、矩計図には高さや部材に関する情報が詳細に記載されます。

各床材の厚みも、掃き出し窓の高さも、天井高も、この図を見れば明確に把握することが可能です。

そのため、矩計図をよく確認することで、高さに関するトラブルを防止することができます。

また、後のリフォームへの備えとしても、矩計図は役立ちます。

この図面を見ることで、床下や天井裏などの目に見えない部分について、その寸法や組み方、部材の種類などの詳細を把握することができるためです。

矩計図があれば、リフォーム前に天井や床、壁の一部を壊して見えない部分の確認を行う必要がなくなり、手間や費用を削減できるでしょう。

矩計図と断面図は、どちらも建物を垂直に切断した様子を表した図であるという点で共通しています。

しかし、これらの図面は同じものではありません。

その違いは、図面上に記載される情報量の差にあります。

矩計図の特徴は、とにかく情報量が多いこと。

モグラ監督

矩計図を見れば建物の全てがわかると言っても過言ではありません

オージュン

それは言い過ぎでは?!

建物そのものや床、天井裏、基礎まで、あらゆる高さ・寸法が表示され、さらに部材の種類や厚み、仕上げ方法まで詳細に記されます。

一方の断面図では、基本的な部分の高さなどは記されるものの、床下や天井裏、壁の中などの寸法を知ることはできませんし、部材の種類や仕上げ方法なども記載されません。

また、矩計図の縮尺が1/20〜1/50であるのに対し、断面図の縮尺が1/100〜1/200であることからも、情報の詳細さの差ははっきりします。

このように、矩計図は断面図よりも多くの情報を確認できます。

オージュン

本当に全てがわかりなそうなほどいろんな情報が書かれているんだ!!

そのため、実際の設計・工事にあたっては、断面図の作成が省略されることもあります。

今回は『建築のこと#1』ということで『矩計図』についてまとめてみました。

矩計図は建築では必須の図面であり、この図面によって細かな部材同士のトラブルを事前に防ぐことができています。

土木経験者からするとあまり聞き馴染みがなく、また少し見づらい図面ではありますが、これから矩計図をしっかりと確認して、トラブルのない工事を進めていきます。

では、また!

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